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後期藩政改革 明治後期の国権論 貨幣経済と御家人の窮乏

受験生からの質問と回答集です。

基本的には下書きの下書きです。機会をみて、まとまった文章にします。

 

19世紀の藩政改革について書かなければいけなさそうな部分があり、それを参考書で調べていたのですが、
「(長州藩では)紙や蝋の専売制の一部緩和などを進め、債務の整理に成功した」
という一文の意味が分かりません。(薩摩藩が専売制を強化して利益をあげているので、緩和したら利益にならないのでは?と思っていました)

 

後期藩政改革だけど、
藩政改革の基本は専売制であってる。
長州藩だけは例外で、最初は専売制を強化したんだけど、国内ででっかい反対一揆くらった。それが、河合塾の後期のテキストにも載っている「防長大一揆」。それで、専売制はリスクが有るってことで、専売制以外でなんとかしようぜ。誰がやる?って言ってたとこに登場したのが、村田清風。
そして、単純な専売制はできないということで、商業政策でなんとかしようと考えたのが越荷方。
越荷方は手広くやっているから、教科書とか参考書によって説明が違って分かりにくいし、短くまとめにくい。それは、受験生にはムリ。
なんで、「越荷方をおき、紙・蠟の専売制を改革して」って書き方がベスト。一橋が今回いじわるしただけで、フツーは(一橋も含めて)例外的でめんどくさい長州藩の改革内容なんて聞いてこない。誰も書けないもん。「村田清風」と「越荷方」の語が分かれば満点になる問題しかつくってこない。

 

平民的欧化主義と近代的民族主義の論争ってどういうことですか?

 

どちらも井上馨の(貴族的)欧化主義に反対している点では共通。
西洋に対抗して自立(条約改正など)しなければならないという点も共通(これは井上馨も共通)。
井上馨→上からの欧化で自立
平民的欧化主義→欧化は認める。ただし、民衆(下)から欧化して自立するのでないといけない。
近代的民族主義(国粋保存主義・(陸羯南の)国民主義・日本主義)→欧化も認めない。日本の独自性を保って自立。

 

元寇以降、御家人たちの多くは分割相続の繰り返しによって所領が細分化された上、貨幣経済の発展に巻き込まれて窮乏していったって山川の教科書に書いてあって、世界史の知識と混ざるんですけど、世界史では中世に封建社会が安定し、農業生産が増大したことで余剰生産物の交換が活発になり、これによって商業が発達したことで貨幣経済が浸透し、生産物地代から貨幣地代への移行が進み、結果として農民の地位向上を招き、貨幣地代で生活していた領主層が没落したと思うんです。日本史の場合の御家人貨幣経済の発展に巻き込まれて窮乏したってこれと仕組み的には同じですか?

 

基本的には同じ。
貨幣経済が発達しても、麦とか米とか、領主の主たる収入源の値は上がりにくい。世の中に一番溢れているものだから。
反対に、商品作物のように量が限られているもの、遠方に運んだときに高く売れるもの(米はどこでもとれるけど、黒砂糖は南国でしか取れない的なもの。アジアの胡椒もおなじ)は、値が上がる。
例えば、
米1石1万円とする。
黒砂糖1石5万円とする。
一人の農民の生産能力を10石とする。
領主への貢納を80%とする。
すると、貨幣経済がなければ、
領主がぶん取る価値は8万円分
農民の手元に残る価値のは2万円分で、
領主が強い。
貨幣経済があれば、
農民は8石の米を作って、2石の黒砂糖を作りだす。
すると、
領主は8万円
農民は10万円の収入になるでしょ。
(生産力の増大の文脈でいうなら、農民は10石の米を作ったうえに、2石の黒砂糖を作れるようになる。こう考えるともっと極端な差になる)
ほら、農民の地位が向上した。
さらに、領主は黒砂糖を食べる生活に巻き込まれるわけだから、それは農民(か農民から黒砂糖を仕入れた商人)から買うことになる。
もし、農民から1石の黒砂糖を買ったら。。。
領主のふところは3万円
農民のふろころは15万円になるのです。
こうして、鎌倉時代末期には御家人(在地領主(ヨーロッパの領主と荘園領主と在地領主をいっしょくたにしちゃダメよ))は窮乏し、
商業活動で力をつけた新興の勢力は「悪党」とよばれるのです。
んで、力をつけた農民は惣村をつくると。
さらに、江戸時代は、
「米の生産物地代」という激烈不利な状況、すなわち石高制を、領主(大名・幕府)は強いられることになって、ずっと財政難に苦しみ続けるんです。
んで、朱子学的には武士(支配者層)が商売とか金融やるなんて卑しいという考えがあるから、幕府は商業で稼ごうとする田沼路線などを、松平定信などが否定して苦しむんです。江戸幕府の苦しみは石高制(米の生産物地代)から脱出できなかった点にあるんです。
だからこそ、そこをブレイクして、なりふりかまわず商業政策で実を上げた藩、すなわち専売制などに成功した雄藩が経済的に力をつけて、軍事力を増強して、政治に口出す状況が生まれてきて、最終的な勝利者となるんです。
なお、農村で経済活動によって力をつけた新興勢力が在郷商人で、従来の問屋中心の流通ルートを崩しにかかりましたね。

 

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